家の解体費用は補助金が使えることも！条件・注意点・自治体の例も解説
2025.07.06
この記事では、家の解体費用に利用できる補助金制度についてまとめています。
家の解体は費用がかかりますが、状況次第では自治体から補助金を受けることが可能です。
記事を読むことで、家の解体で利用できる補助金の種類や申請条件・申請時の注意点を理解できます。実際に自治体が設けている補助金制度の例もいくつか紹介するため、家の解体を検討中の方、今後のために制度を知っておきたい方は参考にしてください。
目次
家の解体費用で利用できる「解体補助金」の例
建物を解体する時、解体工事にかかる費用に対して補助金が支給されるケースがあります。条件を満たしていれば個人が所有する家の解体時にも適用されるため、解体にかかる費用の負担を軽減可能です。
この解体費用として利用できる「解体補助金」は、主に以下のようなものが挙げられます。
- 老朽危険家屋解体撤去補助金
- 木造住宅解体工事費補助事業
- 危険廃屋解体撤去補助金
それぞれの詳細について紹介します。
老朽危険家屋解体撤去補助金
老朽危険家屋解体撤去補助金は、老朽化で倒壊の危険性が高まった家屋の解体を促進するための補助金です。耐震診断などの自治体調査により不良住宅に認定されると、受けられるケースが多いです。
補助金の名称はそれぞれで異なりますが、老朽危険家屋解体撤去補助金のような制度を設けている自治体の例は以下になります。
| 自治体 | 補助金額 | 上限金額 |
| 東京都墨田区 | 解体工事にかかる金額の2分の1 | 50万円 |
| 兵庫県姫路市 | 解体工事にかかる金額の3分の1 | 50万円 |
倒壊の危険性が高まった家屋の放置は危険なため、補助金制度を利用しつつ早めの対処が望まれます。
木造住宅解体工事費補助事業
木造住宅の撤去や解体を促進する補助金制度です。木木造住宅は鉄筋住宅に比べて耐震性能が十分でなく、災害に弱い傾向にあるため、このような制度が設けられています。
参考までに、木造住宅解体工事費補助事業を設けている自治体の例は以下の通りです。
| 自治体 | 補助金額 | 上限金額 |
| 愛知県豊川市 | 解体工事にかかる金額の3分の2、または20万円のいずれか小さい額 | 20万円 |
| 大阪府和泉市 | 解体工事にかかる金額の8割 | 20万円 |
旧耐震基準で建てられたものや、所有者が居住目的で1年以上使用していたものなど、条件は自治体ごとに異なるため、事前の確認が必要です。
危険廃屋解体撤去補助金
老朽化以外の理由で倒壊の危険性があると判断された建物に対して設けられた補助金制度です。不法投棄場となっている家、廃墟や心霊スポットとして不特定多数の人が出入りするようになった建物等が対象になります。
参考までに、危険廃屋解体撤去補助金を設けている自治体の例は以下の通りです。
| 自治体 | 補助金額 | 上限金額 |
| 鹿児島県曽於市 | 解体工事にかかる金額の3割 | 工事費が100〜200万円：35万円 工事費が200万円以上：40万円 |
| 兵庫県太子町 | 解体工事にかかる金額の3分の2 | 133万2千円 |
庭にある立木の撤去、門・塀の解体は補助対象外など自治体によって詳細は異なります。
家の解体費用で補助金を受けるための主な申請条件
家の解体費用で補助金を受けるためには、申請に際していくつか条件があります。詳細は自治体によっても異なりますが、主な申請条件として挙げられるのは以下になります。
- 倒壊などの危険性がある
- 税金を滞納していない
- 個人の所得制限を超えていない
- 1981年5月31日以前に建築された建物である
それぞれの詳細を解説します。
倒壊などの危険性がある
解体予定の建物の老朽破損状況が一定基準を超えていると、倒壊などの危険性があるとみなされて補助金の対象になりやすいです。各自治体による不良度判定のもと判断されますが、これは国土交通省のガイドラインに基づいて定められています。
構造・防火性能・インフラ・衛生面などで問題点が一定数あれば、不良住宅と判定されます。
税金を滞納していない
補助金は国の税金で賄われるため、建物所有者に税金の滞納が確認された場合は、原則補助金が支給されません。
住民税をはじめ、各種税金を滞納していないかは必ず事前に確認してください。
個人の所得制限を超えていない
自治体によっては、個人の所得制限を超えている場合補助金が支給されないケースもあります。解体費用の金銭的負担を軽減する支援制度のため、お金に余裕のある個人には支給する必要がないという理由です。
所得制限を設けているかどうかは、各自治体の条件をよく確認してみましょう。
1981年5月31日以前に建築された建物である
補助金の交付条件として、建物の築年数を判断基準とするケースがあります。
中でも、旧耐震基準で建てられた1981年5月31日以前の建物を必須条件とする自治体が多いです。
旧耐震基準の建物は耐震性が乏しく、解体費用の補助対象として扱われやすいです。
解体費用の補助金申請時における注意点
家の解体費用で補助金を申請する場合、いくつかの注意点があります。以下の注意点を心がけて、後悔しない補助金申請を進めてください。
補助金の支給は工事完了後になる
自治体からの補助金は、審査が通ったとしても実際に支給されるのは原則解体工事が終わった後になります。
これは工事額の何割、上限金額など補助金の支給額が定められているため、工事後の領収書・証明書などを確認しなければ正確な金額を算出できないからです。
そのため、解体工事にかかる費用は家の所有者が一旦支払う形になる点には注意しておきましょう。最終的には補助金が使えるとしても、余裕を持って解体費用を準備しておく必要があります。
申請は工事の開始前に行う
解体工事の補助金申請は、開始前に済ませておかなければなりません。補助金は申請書類が提出されてから、担当者が現地調査を行い交付の可否を判断した上で申請者に通知をします。
そのため、工事を進めてからでは正確な調査ができず、自治体も交付可否の判断を下せません。補助金の対象外となってしまうため、必ず着工前に申請を進めましょう。
審査に1ヶ月以上かかるケースもある
申請時、および補助金請求時には自治体の審査が入りますが、これは数週間〜1ヶ月以上かかるケースもあります。解体工事を実施するかどうかは補助金支給の有無で決めたい、そう考える場合には余裕を持ってスケジュールを組まなければなりません。
また、補助金を受け取りたい時期が決まっている場合は、審査にかかる期間を考慮して早めに準備を進めましょう。解体工事にかかるまで大幅に予定が狂ってしまい、後悔する結果とならないように注意してください。
申請条件・支給額は自治体によって異なる
補助金の申請条件や支給額は、各自治体によって詳細が異なる点も要注意です。インターネット上で補助金の申請条件や支給額を調べた際、違う自治体の情報を見ていると参考にはなりません。
条件や金額の参考に他の自治体情報等を見るのはよいですが、最終的には所属する自治体のホームページを確認したり、直接問い合わせるなどで確認しましょう。
所属する自治体の解体補助金制度を確認する方法
自身が所属する自治体の解体補助金制度を確認する場合は、以下のような方法があります。
- 自治体の公式サイトを確認
- 「自治体_解体補助金」で検索
- 各自治体の補助金についてまとめているサイトを参照 など
いずれも制度を調べるために効果的な方法ですが、最終的には自治体の公式サイトを確認するか、直接問い合わせることをおすすめします。補助金制度をまとめているサイトは便利であるものの、最新の制度に関する情報や条件・金額の変更等に対応できていないケースもあります。
実際に解体工事を進めると決めた際は、直前にでもあらためて公式サイトや問い合わせで最新情報を取得しておき、情報の行き違いがないよう、必ず確認を行ってください。
自治体で受けられる解体補助金の例
各自治体では、基本的な解体補助金以外でも独自の制度を設けているケースがあります。いくつかの自治体の例を紹介します。
神奈川県横浜市
神奈川県横浜市では、新耐震グレーゾーン住宅(昭和56年６月~平成12年5月末までに着工された建築物)を対象に追加した、住宅除却補助制度を設けています。
自治体が定める耐震性チェックを行い、耐震性が低いと証明された建物に対して、解体工事にかかる費用を交付します。
大阪府大阪市
大阪府大阪市では、幅員が4m未満の道路に面する敷地かつ昭和25年以前に建てられた木造住宅に対して、一定の条件を満たす場合に補助金を交付する「狭あい道路沿道老朽住宅除却促進制度」を設けています。
重点対策地区に定めた地域では幅員が6m未満の道路に面する場合が対象など、市内のさまざまな場所で補助金制度が受けられるようになっています。
岡山県浅口市
岡山県浅口市では、適正な管理が行われていない空き家の除去を促進する「空家等除却支援事業補助金」の制度を設けています。特定空家に認定されているもの、倒壊や建築資材の落下によって近隣住家や道路への影響度が高いと認められた建物などが対象です。
市内の施工業者だけでなく、一定の要件を満たせば市外の施工業者が解体工事を行う場合も補助の対象になります。
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