家の解体とお祓いの基礎知識｜費用相場＆判断ポイント徹底ガイド

解体

2025.06.19

本記事では、家の解体前のお祓いについて詳しく解説します。

お祓いをする理由や費用相場、必要なものなど、依頼するか迷ったときの判断材料として役立つ情報をまとめました。

記事を読めば悩みが解消され、長年にわたり家族を守ってくれた家の解体を安心かつスムーズに進められるはずです。

家の解体のお祓いをするかどうか迷っている方は、ぜひ参考にしてください。

家の解体前にお祓いをする理由と必要性

家の解体には大きな費用がかかり、お祓いもするとなれば費用負担が増えるため、不安を感じる方もいるでしょう。

近年では「お祓いは必要ない」と考える人も増えています。

しかし、気持ちの整理や区切りをつけるために必要だと考える方もいて、家族でも意見が分かれるケースがあります。

以下の項目を解説するので、判断する際の参考にしてください。

解体前にお祓いをする理由
解体前のお祓いは必須ではない
お祓いをするか迷ったときの対処法

解体前にお祓いをする理由

お祓いとは、神様や仏様への祈りを捧げ、穢れや災厄を取り除くための宗教的な儀式です。

家の解体前にお祓いをするのは、家屋の守護神に感謝を伝えて建物を清め、解体工事の安全を祈願するためです。

解体前のお祓いは必須ではない

解体前のお祓いはあくまでも慣習的な儀式であり、義務ではありません。神道の宗教上で意義をもつものです。

例えばキリスト教などの神道以外の宗教では、そもそも「お祓い」という概念がありません。

近年では、施主自身でお祓いをしたり、儀式自体を省略したりするケースも増えています。

ご家族の思いや環境、地域の慣習などに応じて、自由に選択可能です。

お祓いをするか迷ったときの対処法

お祓いをするか迷うときは、家族はもちろん、解体工事業者や住宅会社にも相談するのもおすすめです。

家族の意見が一致しない場合はしっかりと話し合い、後悔しないように選択してください。

どうしても迷うときは、お祓いすることをおすすめします。費用を抑えたいときは、依頼先に相談してみましょう。

お祓いをせずに不安を抱えるより、しっかりと神事を済ませたほうが、安心して解体を進められます。

解体工事前のお祓いの種類

解体工事前のお祓いとして、以下の種類が挙げられます。

解体清祓（かいたいきよばらい）
樹木祓
魂抜き
井戸祓

いずれも日本の古くからの慣習となっている儀式であり、法律や宗教によって義務付けられているものではありません。

考え方や宗教的な背景、地域の慣習、予算などに応じた判断が可能です。家族の意向も踏まえて検討してください。

解体清祓（かいたいきよばらい）

解体清祓とは、家の解体時に行う宗教上の基本的な儀式です。

神道における家の守り神「屋船豊受姫神（やふねとようけひめのかみ）」と「屋船久久遅神（やふねくくのちのかみ）」への感謝を伝え、お祓いをするのが日本の慣習です。

樹木祓

樹木祓とは、庭木などの樹木を伐採するときのお祓いで、精霊が宿ると言われている樹木への感謝を示します。

思い入れがある、もしくは樹齢の長い樹木を伐採する際に、お祓いをするケースが多く見られます。

魂抜き

魂抜きとは、仏壇や位牌、神棚などの移動や取り壊しをする際のお祓いです。

閉眼供養（へいげんくよう）やお性根抜き（おしょうねぬき）とも言います。

魂抜きの必要性は宗派によって異なり、法的にも宗教的にも、義務とされているわけではありません。

しかし、心の負担になるようであれば、お祓いをしたほうが安心です。

仏壇や位牌の魂抜きはお寺に、神棚は神社に依頼します。

井戸祓

井戸祓は井戸埋立清祓（いどうめたてきよはらい）とも言います。井戸を解体・撤去する際のお祓いです。

古くから水源確保のために利用されていた井戸には、神霊が宿るとされており、井戸祓は伝統的な儀式となっています。

涸れ井戸でも同様にお祓いをするのが慣習です。

家の解体のお祓いにかかる費用

家の解体で神社やお寺にお祓いを依頼する場合には、数万円単位の費用がかかります。

解体清祓だけを実施する場合の費用相場は、トータルで5～7万円程度。内訳は以下のとおりです。

初穂料
交通費（お車代）
お供え物にかかる費用
祭壇の準備費用

項目ごとに、費用の詳細を見ていきましょう。

【種類別】初穂料の目安

お祓いの種類別で、初穂料の相場を以下の一覧にまとめました。

お祓いの種類	相場
解体清祓	2～3万円
樹木祓	1～3万円
魂抜き	1～5万円
井戸祓	1～3万円

解体清祓を基本として、樹木祓や魂抜き、井戸祓を必要とする場合は、上記の金額がそれぞれ加算されます。

依頼先によって費用は異なるため、依頼前に確認しておきましょう。

初穂料には、紅白の蝶結びの水引きが付いているのし袋を使用します。

のし袋の表書きの上段には「初穂料」、下段には施主の氏名を記入。

中袋の表には金額を、裏面の左下には氏名と住所を記入します。

袱紗（ふくさ）に包んで持参し、袱紗から取り出して手渡ししてください。

交通費（お車代）

お祓いの場所が遠方となる場合など、神主の交通費やお車代、出張費として費用がかかる場合があります。

相場は1～2万円です。お車代を用意する場合は、白い封筒に「御車代」とだけ記入し、初穂料と一緒に手渡しします。

お供え物にかかる費用

お祓いの儀式には、お供え物が必要です。

自分で用意するほか、解体業者や神社などが有料で用意してくれる場合もあります。費用相場は5千～1万円です。

祭壇の準備費用

儀式で必要となる祭壇は、解体業者や神社などで用意してもらえるのが一般的です。

費用相場は5千～1万円ですが、初穂料に含まれているケースもあります。依頼前に費用の内訳を確認しておきましょう。

解体清祓の流れとお供え物一覧

解体清祓について、儀式の流れとお供え物一覧を紹介します。

当日の流れ

解体清祓の当日の流れや、儀式の内容は以下のとおりです。開式から閉式までの所要時間は、30分から1時間程度です。

開式の辞
修跋（しゅばつ）の儀：参列者のお祓いをして、心身を清める
降神（こうしん）の儀：祭壇の神籬（ひもろぎ）に神々を迎える
献饌（けんせん）の儀：神前にお供え物を捧げる
祝詞奏上（のりとそうじょう）：建物の解体を神様に伝え、解体工事の安全を祈る祝詞を奉呈する
清祓い（きよはらい）の儀：建物の四隅と入り口をお祓いする
玉串奉奠（たまぐしほうてん）：神様に感謝を伝え、工事の安全を祈願する
撤饌（てっせん）の儀：お供え物を下げ、魂を抜いて「物」に戻す
昇神（しょうしん）の儀：神様を御座へとお送りする
直会（なおらい）の儀：お神酒や神饌をいただく
閉式の挨拶

解体清祓は一般的に、神社の神主さんに依頼し、解体する家の敷地内で実施します。

当日は正装の必要はありません。普段着で問題ありませんが、天候への配慮が必要です。

ただし、サンダルやタンクトップなど、カジュアル過ぎる服装は避けるのが無難です。

服装で迷うときは、事前に確認しておきましょう。

お供え物一覧

解体清祓での一般的なお供え物は、以下のとおりです。

お供え物	内容
米	1合
塩	小皿1杯程度
水	コップ1杯程度
清酒	一升瓶を1～2本
魚	尾頭付きの鮮魚
野菜・果物	数種類
乾物	かつお節や海苔、昆布など

家の解体のお祓いは自分でもできる？

神社などに依頼をせず、自分でお祓いをする方法もあります。自分でできれば、費用を抑えられます。

ただし、道具を揃える手間や費用がかかるうえ、正式な手順でお祓いをするのは難しいものです。

自分でのお祓いに不安を感じる場合は、神社やお寺に依頼することをおすすめします。

ここからは、自分でお祓いをするために必要なものと簡易的な方法を紹介します。

用意するもの

お供え物

自分でお祓いをする場合は、以下のお供え物を用意しましょう。

塩（小皿1杯程度）
米（1合）
清酒（適量）

清酒は一升瓶を1～2本用意するのが一般的ですが、カップ酒や小瓶でも問題ありません。

可能な範囲で、野菜や果物、魚などもお供えしましょう。

大切なのはお供えの量や種類ではなく、神様への感謝の気持ちです。

お祓いに使用する道具

簡易的に自分でお祓いをする場合は、お供えを用意するだけでも問題ありません。

しかし、本格的なお祓いをする場合は、以下のような道具が必要です。

道具	用途
祭壇	お供え物などを神様や精霊に捧げるための壇
三方（さんぽう）	神前にお供え物を載せるための台
大麻（おおぬさ）	紙垂（しで）を竹や木の棒にくくりつけた神祭用具